Tier表
睡眠サプリ8成分 エビデンスTier表【2026年版】
結論
睡眠サプリに使われる成分を研究の量と質で段に分けると、S段に入った成分はなかった。メラトニン・バレリアン・カモミール・マグネシウムがA段、GABA・L-テアニン・グリシンがB段で、ネムノキはヒトの睡眠研究が見つからずD段である。ランクは効き目の強さではなく研究の量と質を表すため、試験の対象者が自分に近いかもあわせて確かめる必要がある。
研究が多く質も高い動物実験まで
ランクは効き目じゃなく、研究の量と質。
目次
このTier表のランクは何を表している?
このTier表のランクは、効き目の強さではなく、その成分について行われた研究の量と質を表している。上の段にあるからといって、その成分で眠りやすくなることを示すわけではない。
Tier表とは、項目をいくつかの段に分けて並べた一覧表である。編集部は、睡眠をテーマにしたサプリの成分を、公開されている論文をもとに段に分けた。ランクの読み方は ランクの定義(/rank/) を参照してほしい。
今回、S段に入った成分はなかった。C段に入る成分もなく、成分はA段・B段・D段に分かれた。
AA段:まとめた研究がある成分は?
A段に入ったのは、メラトニン、バレリアン、カモミール、マグネシウムである。いずれも、メタ解析が見つかった成分だ。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて分析する研究である。
ただし、同じA段でも中身は大きく異なる。研究の数や参加者の人数、試験の対象者、結果がそろっているかどうかは成分ごとに違うため、下のカードで成分ごとに確かめてほしい。対象者は、引用した研究の参加者を抄録で確認した範囲で記載している。
メラトニンは19本・1,683人の試験をまとめた研究があり、A段の中で研究の数が最も多い[1]。それでもS段ではなくA段としたのは、研究の質の評価による。
バレリアンについては、16本をまとめた初期のメタ解析で出版バイアスの疑いが指摘された[2]。出版バイアスとは、差が見られた研究ほど論文として世に出やすく、結果が実際より良く見える偏りである。その後に18試験をまとめたメタ解析では出版バイアスは検出されなかったが、差が見られたのは本人が感じる睡眠の質だけだった[5]。
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Aメラトニン
- 根拠
- 睡眠障害と診断された成人・子どもを対象に、19本・1,683人の試験をまとめた研究がある[1]。
- 注意
- 日本では医薬品成分のため、サプリとしては販売されていない(厚生労働省)。研究の数は多いが、質の評価からA段とした。
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Aバレリアン
- 根拠
- 不眠の人などを対象に、16本・1,093人の試験をまとめた研究がある[2]。
- 注意
- 差が見られたのは本人が感じる睡眠の質だけで、結果は安定していない。
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Aカモミール
- 根拠
- 健康な人と患者を含む成人を対象に、10本・772人の研究をまとめた研究がある[3]。
- 注意
- 研究によって結果が割れており、対象者には健康な人と患者が混ざっている。
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Aマグネシウム
- 根拠
- 不眠の高齢者を対象に、3本・151人の試験をまとめた研究がある[4]。
- 注意
- 試験は小さく、根拠の質は低い〜非常に低いと評価されている。対象は高齢者に限られる。
BB段:本格的な試験がある成分は?
B段に入ったのは、GABA、L-テアニン、グリシンである。いずれも本格的な試験はあるが、試験の数も参加者もまだ少ない段階にとどまっている。プラセボとは、見た目は同じだが成分を含まない「ニセの粒」である。
GABAは、睡眠不良の人を対象にしたプラセボ対照の試験が3本あると、引用したレビューでまとめられている[7]。原稿で取り上げた試験は睡眠不良の人10人を対象にした単盲検のクロスオーバー試験で、期間は1週間、用量は1日100mgだった[6]。単盲検とは、参加者だけがどちらの条件かを知らされない方法である。クロスオーバー試験とは、同じ参加者が時期を分けて、比べる条件を入れ替えて試す方法である。
L-テアニンは、健康な成人30人を対象にした試験が1本ある[8]。グリシンは、睡眠を削った健康な人を対象にした試験が1本あり、解析されたのは7人だった[9]。
無作為化とは、参加者をくじ引きのように偶然で各群に分けることである。グリシンの試験は原著で無作為化を確認したが、単盲検で人数も少ないため、B段の中でも下位に置いた。
DD段:動物実験までの成分は?
D段はネムノキ(合歓皮)で、ヒトを対象にした睡眠研究は見つからなかった。PubMedとは、医学・生命科学の論文を検索できるデータベースである。編集部がPubMedで検索した範囲では、ヒトの睡眠研究は見当たらなかった。
原稿で引用したネムノキの論文は、ハエを使った実験である[10]。この論文の序論では、マウスやラットの研究も引用されている。動物での結果がそのままヒトに当てはまるとは限らないため、現時点では判断の材料が少ない成分だ。
-
Dネムノキ
- 根拠
- ハエ・マウスなど動物の研究までで、ヒトの睡眠研究は見つからなかった[10]。
- 注意
- ヒトで試された結果がないため、睡眠への影響は分かっていない。
睡眠サプリの成分ごとのランクと研究の数は?
全成分のランク、試験の対象者、研究の数を表にまとめた。研究の数は、原稿で根拠にした研究に含まれる試験・研究の本数である。
同じ段でも、対象者が睡眠障害の人なのか、健康な成人なのかで、自分に当てはまるかどうかは変わる。成分表示を見るときは、段と対象者の両方を確かめてほしい。
全体表を開く
| 成分 | ランク | 試験の対象者 | 研究の数 |
|---|---|---|---|
| メラトニン | A | 睡眠障害の人 | 19本 |
| バレリアン | A | 不眠の人など | 16本 |
| カモミール | A | 健康な人・患者 | 10本 |
| マグネシウム | A | 不眠の高齢者 | 3本 |
| GABA | B | 睡眠不良の人(10人) | 3本 |
| L-テアニン | B | 健康な成人 | 1本 |
| グリシン | B | 睡眠を削った健康な人 | 1本 |
| ネムノキ | D | ハエ・マウス | ヒトの研究なし |
ここは
見落としがち…
このTier表はいつ見直す?
このTier表は初版(原稿の作成日時点の論文で評価)である。
編集部は、新しいメタ解析が出たとき、B段の成分で参加者の多い試験が報告されたとき、ネムノキでヒトの睡眠研究が見つかったときに、ランクを見直す。メラトニンのように研究の数が多い成分も、研究の質の評価が変われば段が動く可能性がある。
よくある質問
いつものサプリ、
どの段だろう
メラトニンのサプリは日本で買える?
メラトニンは日本では医薬品成分のため、サプリとしては販売されていない(厚生労働省)。研究の数が多いA段の成分だが、国内でサプリとして選ぶ対象にはならない点に注意が必要だ。
A段の成分なら、よく眠れるようになる?
A段であることは、眠りやすくなることを示すものではない。ランクは効き目の強さではなく、研究の量と質を表している。たとえばバレリアンで差が見られたのは本人が感じる睡眠の質だけで、カモミールは研究によって結果が割れている。ランクの読み方は ランクの定義(/rank/) を参照してほしい。
GABAやL-テアニンは研究が少ないの?
GABAとL-テアニンはB段で、本格的な試験はあるものの、試験の数も参加者もまだ少ない段階だ。L-テアニンの試験は健康な成人が対象で、睡眠に悩む人を対象にしたものではない。研究の多さと、店頭で見かける頻度は別に確かめる必要がある。
飲むタイミングや量はどうすればいい?
飲むタイミングは原稿では扱っていない。用量が確認できたのはGABAの試験だけで、1日100mgを1週間とる条件だった[6]。ほかの成分の用量は原著を参照してほしい。
睡眠薬やほかの薬と一緒に飲んでも大丈夫?
薬との飲み合わせは原稿では扱っていない。体調に不安がある場合や、持病・服薬がある場合は、医師・薬剤師に相談してください。
出典
原著も
見てみようかな
論文(DOI)
- メラトニン:doi:10.1371/journal.pone.0063773
- バレリアン:doi:10.1016/j.amjmed.2006.02.026
- カモミール:doi:10.1016/j.ctim.2024.103071
- マグネシウム:doi:10.1186/s12906-021-03297-z
- バレリアン:doi:10.1016/j.sleep.2009.12.009
- GABA:doi:10.1007/s10068-016-0076-9
- GABA:doi:10.3389/fnins.2020.00923
- L-テアニン:doi:10.3390/nu11102362
- グリシン:doi:10.3389/fneur.2012.00061
- ネムノキ:doi:10.1155/2019/7395962
本文の [1] [2] は上の番号の論文です。原著照合日:2026年10月30日。数値は原著・公表資料と照合したものだけを載せています(照合の手順)。
公的機関の資料
- NCCIH: Melatonin: What You Need To Know(2026年10月30日 閲覧)
- NCCIH: Valerian(2026年10月30日 閲覧)
- NCCIH: Chamomile(2026年10月30日 閲覧)